ようこそ! フィルハーモニックオーケストラ・長崎です
「音楽の素晴らしさを聴衆・団員で分ちあおう」を合い言葉に、学生、主婦、公務員、教師、会社員など12人の音楽愛好家が集い、アンサンブルの重視、既成概念にとらわれない演奏会スタイルと選曲、音楽を通しての平和のメッセージ発信を楽団の3本柱として、2006年6月フィルハーモニックオーケストラ・長崎は、長崎で第2番目の市民オケとして産声をあげました。楽団創設の中心となった小山大作は、桐朋学園大学に学び、小澤征爾率いるサイトウキネン・オーケストラでファゴット奏者数々のステージに出演した経験を持ち、既成のオーケストラとは一味違うサウンドを創ろうと、団長兼トレーナーとしてこのオーケストラの指導にあたってきました。
楽団員は、長崎市内はもとより、時津・長与・諫早・島原・大村・佐世保・五島など県内各地・さらに佐賀・福岡から集まり、毎月2、3回の練習を重ねてきました。団員数が少ないこと、遠隔地の団員が多く練習効率が悪いことなど悩みもありますが、経験ある指導者の直接の指導という中味の濃い練習ができたことが強みでした。
06年11月、とぎつカナリーホールにてデビューコンサート(ブラームス交響曲第1番ハ短調など)を開催し、斬新な選曲、演奏スタイルで長崎の楽壇にセンセーショナルなデビューを果たしました。 07年5月には、同ホールにて第1回定期演奏会(ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」ほか)を開催し、オーケストラとしての定期的な活動を開始しました。
楽団のさらなる音楽的向上を期して、音楽監督にチェコ・プラハ管弦楽団常任指揮者の武藤英明氏を迎え、07年9月から指導していただいています。ゲスト・コンサートマスターにOMURA室内合奏団の長嶋拓生氏を迎え、さらに質の高い練習に取り組みました。08年1月14日の第2回定期演奏会では、武藤氏の指揮により、ストラヴィンスキー「火の鳥」組曲、ショスタコーヴィチ交響曲第5番の難曲に挑戦しました。
08年5月の第3回定期演奏会では、「神童vs楽聖」のテーマでぐっとオーソドックスに古典派の名曲、モーツァルト交響曲第40番、ベートーヴェン「英雄」交響曲などを演奏。熱気溢れる堂々たる演奏で多数のお客様にご満足いただけたようです。また、アンコールに諫早在住の作曲家酒井健吉氏より提供を受けた「ハイカラ舞曲第1番」を演奏、好評でした。また、この第3回定期演奏会からは、中原大幾氏をゲスト・コンサートマスターに迎えて、さらに緻密なアンサンブルに心がけています。 08年6月には、初めての試みとして、団員による室内楽や小品の演奏会「みちのおホール"見に来ん"」を開催。同年11月には県美術館ホールにて、7つの異なる編成・作曲家による室内楽作品を取り上げた「ちゃんぽんマチネー」を開催、満員となりました。
09年2月の第4回定期演奏会からは、2010年のチャイコフスキー生誕170年にあわせ、第4回・第5回・第6回の定期演奏会で、それぞれ交響曲第4番ヘ短調、第5番ホ短調、第6番ロ短調《悲愴》をメイン曲に取り上げるチャイコフスキー3大交響曲連続演奏会を企画。第1弾となる第4回定期演奏会では、チャイコフスキーの交響曲第4番ヘ短調をメインに、原爆をテーマにした酒井健吉の新作、『祈る女』〜アルトとオーケストラの為の〜 第一章 八月のエレジアを、かのうよしこのアルト独唱で初演、また、諫早市在住の大野陽子のピアノで、当団としては初めてとなるコンチェルト、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調を演奏しました。
09年6月には、2回目となる「ちゃんぽん」 '09初夏の ちゃんぽんソアレー in メルカつきまちを開催。バッハから現代の作曲家まで、編成も弦や管楽器の合奏だけでなく、テューバのソロ、ピアニカのコンチェルトに手拍子だけの音楽と、実に「変幻自在」を絵に描いたような小音楽会となりました。餅が撒かれるというサプライズもあり、常識を覆す演奏会としてお楽しみいただけたようです。
09年10月には、第5回定期演奏会を開催。日本を代表するヴァイオリニストの一人、日本フィルハーモニー交響楽団ソロ・コンサートマスターの木野雅之氏をソリストおよびゲストコンサートマスターに迎えてのオール・チャイコフスキー・プログラム。 木野氏の超絶技巧に、聴衆も楽団員もただただビックリ。木野氏のリードでオーケストラも最高の演奏をすることができ、会場は感動の嵐となりました。
10年3月には、チャイコフスキー3大交響曲連続演奏会の締めくくりとなる第6回定期演奏会を開催。長崎市在住のピアニスト林田賢氏をソリストに迎えてのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と、チャイコフスキーの最高傑作交響曲《悲愴》という組合せ。難曲中の難曲だけに、予期せぬことも起こりましたが、お客様の評判は上々でした。
10年6月、3回目となる「ちゃんぽん」コンサートは、「'10初夏の ちゃんぽんマチネー in 道ノ尾病院アトリウム」と題して、初めてコンサート専用の会場を飛び出して、病院のロビーでの演奏会となりました。ヴァイオリンの田口薫・中原大幾両氏をゲストに迎え、ちゃんぽんの名前の通り、バッハから現代作曲家まで、Jazzも唱歌もありという、風変わりなコンサートでしたが、約2時間、満員のお客様にはお腹いっぱい楽しんでいただけたようです。
10年9月には、ドイツ3大B(バッハ、ベートーヴェン、ブラームス)を特集した渋いプログラムの第7回定期演奏会を開催。佐世保市、長崎市をそれぞれ中心に活躍されているヴァイオリニストの前田純美加さん、中原大幾さんを、ソリストに招いて、バッハの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」を当時のスタイルよろしく、指揮者無しの弦楽合奏で演奏しました。演奏会冒頭のベートーヴェンの「レオノーレ」序曲第3番から、いきなりテンションの高い演奏となり、最後のブラームスの難解な交響曲第4番ホ短調まで集中力の途切れない良い演奏となりました。ただ、これまでになく、来場されたお客様の数が少なく、今後の課題となりました。
11年1月、PON初めてとなるニューイヤーコンサートを、第8回定期演奏会として開催しました。ところにより雪道による交通規制が行われるような悪天候でしたが、「ウィーンふぅ ニューイヤーコンサート」と銘打った演奏会は、定番のヨハン・シュトラウス喜歌劇「こうもり」序曲を側きりに予定どおり開演。長崎を中心に活躍中のクラリネット奏者山田芳美さんをソリストに迎えたモーツァルトのクラリネット協奏曲は絶品でした。後半は、初笑い迷曲として、ベートーヴェンのレオノーレ序曲やハイドンの「びっくりシンフォニー」のパロディがあったり、これまたニューイヤーコンサートでは定番のシュトラウスのワルツやポルカが続いたりと、楽しい演奏会となりました。
11年7月の第9回定期演奏会は、3年ぶりとなる神童モーツァルトと楽聖ベートーヴェンの対決「神童vs楽聖2」。モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲で劇的に始まり、ジュピターとベートーヴェン第7番の聴き比べという、まるでメインが2つあるような贅沢な演奏会。のだめカンタービレでファンならずともご存知の「ベト7」、お客様のアンケートでこれまでで最高得点の満足度を記録する名演となりました。
11年11月には4杯目となる「ちゃんぽんマチネー」。モーツァルト、ベートーヴェンからプーランク、果ては葉加瀬太郎まで。餅が撒かれたり、ちゃんぽんの当たる抽選会があったりと、目が白黒なるようなアッと言う間の2時間でした。
12年3月、第10回記念定期演奏会は、デビューコンサートを飾った「ブラ1」を超えるべく、ゲスト・コンサートマスターおよびソリストとして木野雅之(Vn)を招き、アンコールまで全てオールブラームスのプログラム。ブラームスのヴァイオリン協奏曲と交響曲第1番が、お客様へのアンケートで第9回で打ち立てたばかりの満足度最高点を、あっさり抜いて、第1位と第2位に輝く名演奏となりました。
12年9月、第11回定期演奏会は、初心に帰り、弦楽器のみのアンサンブル、管楽器を主体としたアンサンブル、フル・オーケストラでの演奏という構成で、チャイコフスキー、酒井健吉、ベートーヴェンと、時代も国も異なる3人の作曲家の作品を集め「3つの愛を奏でる」演奏会としました。冒頭からサイトウキネンオケを彷彿とさせる迫力ある弦のぶ厚いハーモニーで始まり、酒井健吉の協奏曲では田口薫の伸びやかなソロが「ヤイカテカラ」の世界観を表現し、メインでは「運命」と通称される交響曲第5番がフランス革命思想に共感したベートーヴェンの博愛をオーケストラが謳いあげました。
13年4月、第12回定期演奏会は、「ウィーン1791〜1877」と題し、初めて長崎市民会館文化ホールで開催しました。1791年のモーツァルトの歌劇「魔笛」初演から、1877年のブラームスの交響曲第2番の初演まで、ウィーンで活躍した、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスの3作品を取り上げました。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番(皇帝)は当時のスタイルよろしく、指揮者を置かずにピアニスト林田賢さんの弾き振りでの演奏。よどまず前進していく気迫の好演となりました。
13年11月、2年ぶりの「ちゃんぽんマチネー」は、音の良い、雰囲気の良い、病院のアトリウムで。ちゃんんぽんも5杯目になりました。今回の目玉は、ボーカロイドと管弦楽の共演。雅楽のような響きがあるかと思えば、12音技法の曲があり、春祭並みの変拍子有り、終曲は5拍子のスウィングと、演奏者もお客様も目を丸くしたに違いありません。会場はほぼ満員となりました。
14年1月、3年ぶり2回目となるニューイヤーコンサートを、第13回定期演奏会として開催しました。「ウィーンふぅ ニューイヤー・コンサート 2」と銘打った演奏会は、ウィーンゆかりの作曲家の作品を演奏・第1部は、ベートーヴェンの「フィデリオ」序曲と、第41回長崎県新人演奏会準グランプリ受賞の芹田碧さんをソリストに迎えてモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第5番。若々しい情熱的な演奏が印象的でした。第2部は、ソプラノの村岡恵理子さんをソリストに、ヨハン・シュトラウスのワルツ「春の声」ほかを演奏。美声とドレスが新春にふさわしい華やかさをもたらしてくれました。ほかに、ニューイヤーコンサートでは定番のシュトラウスのワルツやポルカが続き、楽しい演奏会となりました。
14年9月、第14回定期は「中・東欧の秋」のテーマで、ルーマニア民族舞曲、トランペット協奏曲(フンメル)、ドヴォルザーク交響曲第8番。協奏曲は長崎市出身の白水大介氏(関西フィルハーモニー管弦楽団首席奏者)を迎えて、原調のホ長調で演奏。輝かしい音色でトランペットの魅力が際立つ名演となりました。
15年6月、第15回定期は、「ヴァイオリン・夢紀行」をテーマに、ヴァイオリンが活躍する名曲を揃えました。4人のソリストが活躍するヴィヴァルディの「調和の霊感」第10番に続き、木野雅之氏のソロが冴えた「序奏とロンド/カプリチオーソ」、「カルメン幻想曲」。メインは大曲「シェヘラザード」で、コンサートマスターのソロも聴きどころの一つでした。久しぶりのとぎつカナリーホールでしたが、迫力ある好演だったと思います。
16年3月、第16回定期は 「神童vs楽聖3」 3回目となる神童モーツァルトと楽聖ベートーヴェンの対戦。今回はどちらに軍配が上がるのでしょうか? vヴァイオリンに松本さくら氏(平成27年度長崎県新人演奏会・準グランプリ受賞)、ヴィオラに長嶋拓生氏を迎えて、モーツァルトの協奏交響曲変ホ長調は、二人の息がピタリと合った素晴らしい演奏でした。メイン曲はベートーヴェンの「田園」です。名曲だけに、高い演奏水準が要求されますが、冒頭から終了までテンションを維持した引き締まった名演奏になったようです。2,3人の方から同時にブラボー!!の歓声が上がりました。
16年12月、PON創立10周年の演奏会「題名のある音楽会〜映画の中のクラシック」は、熊本地震復興支援コンサートとして開催しました。これまでPONの演奏会に出演されたソリストの中から、4人の方に友情出演していただき、豪華なプログラムとなりました。古今東西の映画からクラシック音楽が印象的に使われているものを選んで、前半はバロックとドイツ・オーストリア系のものを、後半は、ロシアもの、イタリア・オペラ、そしてフランスものという構成にしました。お客様と出演者からの募金により、12万円超を集めることができ、熊本県、熊本市に半額ずつ寄付いたしました。ご協力ありがとうございました。
17年9月、創立11年目となり新境地を開拓しようと、情熱のスペインものを取り上げた第17回定期演奏会「情熱・響・スペイン」。桐朋学園大在学中の新進気鋭のヴァイオリニスト、柴田恵奈氏による「スペイン交響曲」の情熱的な演奏、デビュー45年を迎える日本を代表するギタリストの一人、山口修氏による「アランフェス協奏曲」の見事な響き、リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」など、「スペイン」を堪能できる演奏会となりました。終演後のお客様アンケートで、「たいへん満足」と「満足」の合計が 98%という驚異的な数字を記録しました! 指揮者小山大作の鬼気迫る演奏。それもそのはずで、演奏会の2ヶ月前に進行癌とわかり、抗がん剤を打ちながら病をおしての「最期の」ステージだったのです。
同年11月、誠に悲しいことですが、当団の創立より11年の長きに亘って、団長として、また指揮者としてPONを育ててきた小山大作先生は帰らぬ人となりました。
18年3月、「小山大作先生を偲ぶ会」が催され、氏の恩師や同輩・後輩、音楽仲間より暖かい送る言葉が寄せられました。この会を通して、改めて小山氏の音楽人としての素晴らしさを再認識いたしましたフィルハーモニックオーケストラ・長崎は、小山氏の遺志を継いでこれからも長崎のクラシック音楽シーンに新風を吹かせ続けることを誓いました。
これからの予定:
「小山大作先生追悼演奏会」 第18回定期
2018年6月24日(日) とぎつカナリーホール 大ホール
小山氏の桐朋学園大時代の親友である、指揮者 末廣 誠氏の棒により、第18回定期演奏会として既に選曲していた、ベートーヴェンの「英雄」とブラームスの3番を中心に追悼演奏会を開催します。
当団に新曲を提供するなど小山氏と親交の深い作曲家 酒井健吉氏は、「レクイエムではなく氏を称える」として「オーボエと管絃楽による協奏的頌歌」を作曲されましたので、これも初演いたします。
今後とも、知られざる名曲や演奏機会の少ない難曲、他のジャンルの音楽家とのコラボレーションなど、これまでクラシックにはあまり馴染みのなかった方にも、クラシック通の方にも、楽しんでもらえるような、まさに「変幻自在、なんでもあり」のオケとして活躍したいと思います。
今後とも末永く皆様の暖かいご声援・お力添えを賜りますようお願い申し上げます。
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